「最近、なんとなく調子が悪い」
「どうしてこんなにイライラするんだろう」
「なぜ同じことを何度も考えてしまうんだろう」
暮らしの中では、自分でも理由がよく分からないまま、心が動くことがあります。
そんなとき、自分の心を見つめるための一つの視点として、心理学を使ってみることができます。
心理学には、人の心や行動について考えるためのさまざまな知識があります。
しかし、心理学を暮らしに活かすということは、心理学の知識をたくさん覚えることではありません。
また、心理学の技法を使って、暮らしの中の困りごとをすべて解決することでもありません。
では、心理学を暮らしに活かすとは、どういうことなのでしょうか。
心理学は、暮らしの中にある
心の健康も、毎日の暮らしの中で考えられる
心の健康というと、何か特別なもののように感じるかもしれません。
しかし、心の健康は、私たちの日々の暮らしと離れたものではありません。
人との関わり方、自分の気持ちとの付き合い方、ストレスとの向き合い方、休むことや助けを求めることなど、さまざまなことが心の健康と関係しています。
心の健康は、「問題がない状態」だけを指すものではありません。
自分の心の状態に気づき、そのときどきの自分と付き合いながら、毎日の暮らしを送っていくことも、心の健康を考えることにつながります。
関連記事:心の健康とは?心理学から考える「こころが健康」ということ
そして、心の健康は、何か一つの方法で完成するものでもありません。
日々の暮らしの中で自分自身について考えたり、自分に合った過ごし方を探したりすることも、心の健康を育てていくことにつながります。
関連記事:心の健康は育てられる?毎日の暮らしから考えてみよう
心のしくみを知ると、自分の経験を振り返ることができる
私たちは、暮らしの中でさまざまな出来事を経験しています。
その出来事に対して、何かを感じたり、考えたり、行動したりします。
例えば、誰かから何かを言われたとき、「悲しい」と感じる人もいれば、「腹が立つ」と感じる人もいるかもしれません。
そして、そのときに何を考えたのか、どのような行動を取ったのかも、人によって違います。
このように、出来事だけを見るのではなく、
「そのとき、自分は何を感じたのか」
「どんなことを考えたのか」
「どのような行動をしたのか」
と、自分の心の動きに目を向けることができます。
関連記事:心のしくみを知ると何が変わる?「感情・考え・行動」のつながり
心理学を知ることは、こうした自分自身の経験を振り返るための一つの視点にもなるのです。
「自分は今、何を感じている?」から始めてみる
具体的な感情に目を向ける
例えば、「最近なんとなく調子が悪い」と感じることがあるかもしれません。
そんなとき、「どうすれば調子がよくなるだろう」と、すぐに解決方法を探したくなることもあります。
しかし、その前に、
「自分は今、何を感じているんだろう?」
と立ち止まってみることもできます。
「感情」という言葉だけでは、自分の状態を捉えにくいことがあります。
そこで、
- うれしい
- 悲しい
- 怒っている
- 不安
- 寂しい
- 悔しい
- 安心している
- 楽しい
など、具体的な感情に目を向けてみます。
自分が今どのような感情を抱いているのかに気づくことで、その後に何を考えたらよいのか、どのように過ごしたらよいのかを考える手がかりになるかもしれません。
つまり、
自分の状態を理解することが、暮らしの中で心理学を活かす出発点になる
と考えることができます。
怒りや不安も、自分の心を知る入り口になる
「感情」は、少し抽象的な言葉です。
そのため、実際の暮らしの中で自分の感情について考えるときには、「怒り」や「不安」のような、具体的な感情から考えてみることができます。
「なぜこんなにイライラするんだろう?」
「どうしてこんなに不安になるんだろう?」
そんな経験をきっかけに、自分の心に目を向けてみることもできます。
怒りや不安について詳しく知りたいときは、それぞれの感情について考えた記事も参考にしてみてください。
関連記事:なぜイライラする?怒りのしくみ
関連記事:不安になるのはなぜ?心理学から考える「不安」のしくみ
関連記事:感情とは?心理学から考える「気持ち」との付き合い方
自分を理解すると、暮らしの見方が変わる
心理学は、自分を決めつけるためのものではない
心理学を知ることは、「自分はこういう人間だから仕方がない」と、自分を決めつけることではありません。
例えば、
「自分は人付き合いが苦手だから仕方がない」
「自分はネガティブな性格だから変わらない」
と結論づけるために心理学を使うのではなく、
「自分はどんな場面で、どのように感じることがあるのだろう?」
「そのとき、どんなことを考えているのだろう?」
と、自分について考えてみるために使うことができます。
心理学は、自分自身に決まった答えを与えるものではありません。
自分を理解するための一つの視点として使ってみる。
そのように考えると、心理学との付き合い方も少し変わってくるのではないでしょうか。
ストレスへの対処や助けを求めることも、自分を知ることから始まる
暮らしの中では、ストレスを感じることもあります。
人との関わり、仕事や学業、生活環境の変化など、さまざまな出来事がストレスと関係することがあります。
そんなときも、すぐに「ストレスをなくさなければ」と考えるのではなく、
「自分は何に負担を感じているのだろう?」
「今、自分はどんな状態なのだろう?」
と考えてみることができます。
そのうえで、自分に合った対処について考えることもできます。
また、自分だけで抱えることが難しいときには、誰かに相談することも一つの選択肢です。
関連記事:人に相談する・助けを求める
心理学を暮らしに活かすことは、すべてのことを自分一人で解決することではありません。
自分の状態を知り、そのときの自分にとって必要なことを考えていくことも、その一つです。
心理学から、自分が大切にしたいことを考える
心理学は「正解」を教えてくれるものではない
心理学を知れば、すべての悩みが解決するわけではありません。
また、心理学で説明されていることが、すべての人にそのまま当てはまるわけでもありません。
心理学は、自分の心や行動、暮らしについて考えるための一つの視点です。
だからこそ、
「心理学ではこう言われているから、自分もこうしなければならない」
と考えるのではなく、
「自分の場合はどうだろう?」
と立ち止まってみることが大切なのではないでしょうか。
自分を理解することから、「自分はどうしたいのか」を考える
自分の感情に気づく。
自分の考えや行動を振り返る。
ストレスを感じていることに気づく。
必要なときには誰かに相談する。
こうした経験を通して、自分について少しずつ分かってくることがあります。
そして、自分の状態を理解していくと、
「自分はどうしたいのだろう?」
「自分は何を大切にしたいのだろう?」
「自分にとって、どんなことが大切なのだろう?」
と、自分の暮らしや人生について考える場面も出てきます。
例えば、怒りを感じたときにも、
「怒らないようにするにはどうすればいいだろう?」
だけではなく、
「自分は何を大切にしているから、こんなに怒ったのだろう?」
と考えてみることができます。
不安を感じたときにも、
「不安をなくすにはどうすればいいだろう?」
だけではなく、
「自分は何を大切に思っているから、不安になったのだろう?」
と考えてみることができます。
もちろん、いつでもそこまで考えられるわけではありません。
それでも、自分の心に少し目を向けることで、自分が大切にしていることや、自分が望んでいることに気づくきっかけになることがあります。
心の健康を育てることは、自分らしい人生を考えるきっかけにもなる
心の健康を育てることは、すべてのつらい気持ちをなくしたり、いつも前向きな気持ちになったりすることではありません。
自分の状態を理解し、自分なりに考え、自分が大切にしていることを知っていく。
そうしたことが、自分の暮らしや人生について考えるきっかけになることもあります。
そして、その先に、自分にとって大切なものを大切にしながら、自分なりの人生を考えていくことがあります。
心の健康がより良くなることが、必ず自分らしい人生につながるとは限りません。
それでも、心の健康について考えることが、自分の暮らしや人生について考えるきっかけになることはあるのではないでしょうか。
ここたねが大切にしていること
このサイトでは、心理学を「自分を理解するための一つの視点」と考えています。
心理学を学んで、知識を増やすことだけが目的ではありません。
心理学の技法を使って、暮らしの中の困りごとをすべて解決することが目的でもありません。
心理学を、自分の心や暮らしを見つめ直すための一つの道具として使ってみる。
それが、このサイトで考えている「心理学を暮らしに活かす」ということです。
自分の心について、少し考えてみる。
自分が感じていることに気づいてみる。
自分の考えや行動を振り返ってみる。
そして、自分が大切にしていることについて考えてみる。
そのような小さな気づきが、心の健康について考えるきっかけになるかもしれません。
心理学という「たね」を暮らしにまいて、心の健康を育てる。
それが、このサイト「ここたね」で大切にしている考え方です。
ちょっと考えてみよう
最近の自分は、どんな気持ちになることが多いでしょうか。
うれしい、楽しい、悲しい、怒り、不安、安心、寂しさ。
どれが正しい、どれが間違っているということではありません。
まずは、
「自分は今、何を感じているんだろう?」
と、少し立ち止まってみる。
そこから、自分の心や暮らしについて考えてみることが、心理学を暮らしの中で活かす最初の一歩になるかもしれません。

