心の健康とは?心理学から考える「こころが健康」ということ

心の健康

「心の健康」と聞くと、どのような状態を思い浮かべますか?

いつも明るく前向きでいること。
ストレスを感じないこと。
悩みがないこと。
毎日楽しく過ごせること。

こうした状態も、心の健康と関係しています。

でも、私たちの暮らしには、落ち込むことも、不安になることも、イライラすることもあります。

思い通りにならないことや、人間関係で悩むこともあるでしょう。

では、そうした気持ちになることは、「心が健康ではない」ということなのでしょうか。

心の健康について考えるときには、単に「元気か、元気ではないか」だけではなく、今の自分がどのような状態なのかに気づき、自分の心とどのように付き合っているのかという視点も大切です。

この記事では、心理学を参考にしながら、「心の健康」とは何かを考えてみます。

心の健康とは?

世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスを、人生のストレスに対処し、自分の能力を発揮し、学んだり働いたりし、地域社会に貢献できるような心のウェルビーイングの状態と説明しています。

また、心の健康は、単に精神疾患がないことだけを意味するものではありません。

日本の厚生労働省も、こころの健康について、自分の感情に気づいたり、状況に応じて考えたり、人との関係を築いたりすることなどと関連づけて説明しています。

また、こころの健康には、本人の特徴だけでなく、身体の状態、生活環境、人間関係など、さまざまな要因が関係するとしています。

こうしたことから、心の健康を考えるときには、

「心の病気があるか、ないか」だけではなく、日々の暮らしの中で自分の心とどのように付き合っているか

という視点も大切になります。

心の健康=いつも元気、ではありません

心が健康なら、いつも明るくいられるのでしょうか。

そうとは限りません。

私たちは生活の中で、さまざまな感情を経験します。

うれしい。
楽しい。
悲しい。
不安。
怒り。
寂しい。
がっかりする。
やる気が出ない。

こうした感情は、誰にでも起こり得るものです。

落ち込んだり、ストレスを感じたりすることがあるからといって、それだけで「心が不健康だ」と考える必要はありません。

大切なのは、

「今、自分はどのような状態なのだろう?」

と、自分の心に目を向けてみることです。

例えば、「最近なんとなく調子が悪い」と感じたとき、

「自分は今、悲しいのかな」

「不安を感じているのかな」

「何かに怒っているのかな」

と、自分の状態を少し振り返ってみる。

そのように自分の心に気づくことも、心の健康について考える一歩になります。

心の健康を考える5つの視点

では、日々の暮らしの中で心の健康について考えるとき、どのようなことに目を向ければよいのでしょうか。

ここでは、このサイトで大切にしていきたい5つの視点を紹介します。

自分を知る

まずは、自分がどのような人なのかを少しずつ知っていくことです。

「自分はこういう人」と決めつける必要はありません。

例えば、

「どんなときにうれしくなる?」
「何をすると疲れる?」
「どんなことを大切にしている?」
「最近、どんなことを考えている?」

と振り返ってみるだけでも、自分について新しい発見があるかもしれません。

自分を知ることは、自分を評価することではありません。

「今の自分はどうなっているんだろう?」

と、自分自身を少し観察してみることから始められます。

自分の心のしくみについて詳しく考えてみたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

→ 心のしくみとは?感情・考え・行動のつながり

また、自分を理解することについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

→ 自分を知るとは?心理学から考える『自己理解』

感情に気づく

私たちは毎日、さまざまな感情を経験しています。

ところが、忙しい生活の中では、

「なんとなく疲れた」
「なんとなくイライラする」

というところで止まってしまうこともあります。

そんなとき、

「私は今、怒っているのかな?」
「本当は悲しかったのかな?」
「不安を感じているのかな?」

と少し立ち止まってみる。

感情を無理になくすのではなく、「今、自分はこう感じている」と気づくことが、自分の心を理解する手がかりになります。

感情について詳しく考えてみたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

→ 「感情とは?心理学から考える気持ちのしくみ」

また、怒りや不安のような具体的な感情から、自分の心について考えてみることもできます。

→ 「なぜイライラする?怒りのしくみ」

→ 「不安になるのはなぜ?心理学から考える「不安」のしくみ」

考えに気づく

同じ出来事が起きても、人によって感じ方や行動が違うことがあります。

その背景には、その出来事をどのように受け止めたかという「考え」が関係している場合があります。

例えば、仕事でミスをしたとき、

「誰でもミスすることはある」

と考える人もいれば、

「自分は何をやってもダメだ」

と考える人もいるかもしれません。

ここで大切なのは、どちらが正しいとすぐに決めることではありません。

「自分はこの出来事をどう受け止めたのだろう?」

と気づいてみることです。

感情や考え、行動がどのようにつながっているのかを知ることは、自分の経験を振り返るときの一つの視点になります。

→ 心のしくみを知ると何が変わる?「感情・考え・行動」のつながり

ストレスと付き合う

生活している以上、ストレスを完全になくすことは難しいものです。

仕事、学校、家庭、人間関係、生活環境など、さまざまなことが私たちの心に影響します。

そのため、

「ストレスを感じないようにする」

だけではなく、

「自分はどんなときにストレスを感じやすいのか」

「そのとき、自分にはどんな変化が起きるのか」

と、自分の状態を知ることも大切です。

そして、自分の状態を理解したうえで、

「今の自分には何が必要なのだろう?」

と考えてみる。

ストレスへの対処について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

→ ストレスとは?心と身体に起こる変化を知ろう

→ コーピングとは?ストレスとの付き合い方を考える

人とのつながりを大切にする

心の健康は、自分一人だけで作るものではありません。

家族、友人、職場の人、地域の人など、私たちはさまざまな人との関係の中で生活しています。

そして、ときには自分だけでは解決できないこともあります。

そんなとき、

「誰かに相談する」
「助けを求める」
「一緒に考えてもらう」

という選択肢を持っていることも大切です。

「一人で頑張ること」が心の健康なのではありません。

必要なときに人とつながることも、心の健康を支える一つの方法です。

人に相談することや助けを求めることについて詳しく考えてみたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

→ 人に相談する・助けを求める

心の健康は「育てる」と考えてみる

ここまで読んで、

「結局、心の健康のためには何をすればいいの?」

と思ったかもしれません。

心の健康を、「一度身につければ終わるもの」や「完成させるもの」と考える必要はありません。

このサイトでは、心の健康を、日々の暮らしの中で少しずつ育てていくものとして考えています。

例えば、

昨日は自分の気持ちに気づけなかったけれど、今日は「私は今、不安なんだ」と気づけた。

いつも一人で抱えていたけれど、今日は誰かに相談できた。

イライラしてすぐ行動するのではなく、「なぜ私はこんなに腹が立っているんだろう」と一度考えられた。

こうした小さな変化も、自分の心との付き合い方を知っていく一歩です。

大きな変化だけが「心が健康になった」ということではありません。

昨日の自分より、今日の自分のほうが少し心のことを分かっている。

そんな変化も、心の健康を考えるうえで大切にしてみたいと思います。

心の健康を育てることについて、暮らしの中でできることをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

→ 心の健康は育てられる?毎日の暮らしから考えてみよう

ちょっと考えてみよう

ここまで読んだら、最近の自分について少し振り返ってみませんか。

「最近、どんなときに心が動いたかな?」

うれしかったことでも、悲しかったことでも、イライラしたことでも構いません。

そして、

「そのとき、私は何を感じていたんだろう?」

と考えてみます。

答えを出す必要はありません。

自分の心に少し目を向けてみるだけでも十分です。

心理学を知ることは、自分を決めつけることではありません。

「こういう心理だから、自分はこうしなければならない」と考えるためでもありません。

「自分の場合はどうだろう?」

と、自分の心や暮らしを見つめるための一つの視点として使ってみることができます。

そして、自分の状態を知ることで、

「今の自分には何が必要なんだろう?」

「自分は何を大切にしたいんだろう?」

と考えるきっかけになることもあります。

心の健康について考えることは、自分の心だけではなく、自分の暮らしや人生について考えることにもつながっていくのかもしれません。

こんなときは一人で抱え込まないでください

この記事で紹介しているのは、心理学を暮らしの中で活かすための一般的な情報です。すべての人に同じように当てはまるものではありません。

心身の不調が続いている場合や、日常生活に大きな支障がある場合には、一人で抱え込まず、医療機関や相談機関などの専門機関に相談してください。

まとめ

心の健康とは、いつも明るく前向きでいることでも、悩みやストレスがまったくないことでもありません。

私たちは暮らしの中で、さまざまな感情を経験します。

大切なのは、

「今、自分はどのような状態なのだろう?」

と、自分の心に目を向けてみることです。

心の健康を考えるときには、

  • 自分を知る
  • 感情に気づく
  • 考えに気づく
  • ストレスと付き合う
  • 人とのつながりを大切にする

という視点から、自分の暮らしを振り返ることができます。

そして、心の健康は、完成させるものではなく、日々の暮らしの中で少しずつ育てていくものとして考えることもできます。

まずは、

「自分は今、何を感じているんだろう?」

と、少し立ち止まってみる。

そこから自分の心について考えてみることが、心の健康を考える最初の一歩になるかもしれません。

心理学は、自分を理解し、暮らしを見つめるための一つの視点になります。

心理学を、暮らしの中へ。