「どうしてこんなに不安になるんだろう?」
「まだ何も起きていないのに、心配になってしまう」
「頭では大丈夫だと思っているのに、なんだか落ち着かない」
そんな経験はありませんか。
私たちは毎日の生活の中で、さまざまな不安を感じます。
明日の予定が気になる。
仕事がうまくできるか心配になる。
人からどう思われているのか気になる。
将来のことを考えて不安になる。
不安は、ときには私たちを疲れさせることがあります。
そのため、
「できれば不安にならないようにしたい」
と思うかもしれません。
でも、不安は本当に「なくしたほうがいい感情」なのでしょうか。
この記事では、不安をなくすことだけを考えるのではなく、
「なぜ自分は不安を感じているんだろう?」
と、不安のしくみを少し眺めてみます。
そもそも「不安」とは?
不安とは、これから起こるかもしれないことについて心配したり、落ち着かない気持ちになったりすることです。
例えば、
「明日の仕事は大丈夫かな」
「失敗したらどうしよう」
「相手に嫌われていたらどうしよう」
「この先どうなるんだろう」
などです。
ここで一つ大切なのは、
不安を感じていることと、実際に悪いことが起きていることは同じではない
ということです。
不安は、まだ起きていない未来について考えることから生じる場合があります。
そのため、
「今、実際に起きていること」
と
「これから起こるかもしれないこと」
を分けて考えてみることが、不安を理解する一つの手がかりになります。
不安は「これから」を考える感情
例えば、明日、大切な発表があるとします。
まだ発表は始まっていません。
それでも、
「うまく話せなかったらどうしよう」
「失敗したら恥ずかしい」
「質問されたら答えられないかもしれない」
と考えると、不安を感じることがあります。
このように、不安には、
「これからどうなるだろう?」
という未来への予測が関係することがあります。
未来を考えること自体は、悪いことではありません。
「明日は何時に家を出よう」
「忘れ物がないように準備しよう」
と考えることも、これから起こることを予測することです。
ただ、未来には分からないこともたくさんあります。
その「分からなさ」が、不安につながることもあります。
「分からないこと」が不安につながることがある
初めて行く場所。
初めて会う人。
初めて経験する仕事。
結果がまだ分からない試験。
これからどうなるか分からない状況。
こうした場面では、
「どうなるんだろう?」
と考えることがあります。
先のことが分からないため、さまざまな可能性を考えるからです。
もちろん、分からないことにワクワクする人もいます。
一方で、不安を強く感じる人もいます。
同じ状況でも感じ方が違うのは、これまでの経験や、その人が大切にしていること、そのときの体調や気分など、さまざまなことが関係していると考えられます。
つまり、
「分からないことがある=必ず不安になる」
というわけではありません。
自分にとって、その状況をどのように受け止めているのかを見ていくことが大切です。
「心配」と「不安」はどう関係している?
不安を感じているとき、頭の中でさまざまなことを考えることがあります。
「もし失敗したら?」
「もし嫌われたら?」
「もし何か起きたら?」
こうした「もし~だったら」という考えが何度も浮かぶことがあります。
例えば、
明日の発表がある
↓
「失敗したらどうしよう」
↓
不安になる
↓
「失敗したら、みんなに変に思われるかもしれない」
↓
さらに心配になる
というようなことがあります。
実際の心の動きは、いつもこの順番になるわけではありません。
考えと感情が行ったり来たりすることもあります。
それでも、
「自分は今、何を心配しているんだろう?」
と考えてみると、不安の中身が少し見えてくることがあります。
不安になると身体にも変化が起こる
不安は、頭の中だけで起こるものではありません。
不安を感じると、
- 心臓がドキドキする
- 呼吸が浅く感じる
- 身体に力が入る
- 手に汗をかく
- お腹の調子が変わる
- 落ち着かなくなる
- 眠りにくくなる
など、身体に変化を感じることがあります。
感じ方には個人差があります。
そして、身体の変化を感じたことで、
「何かおかしいのかな?」
と、さらに不安になることもあります。
このように、
考え・感情・身体の反応は、互いに影響し合うことがあります。
これは、「心のしくみ」で紹介した考え方ともつながっています。
ただし、身体に変化があったからといって、その原因が必ず不安だとは限りません。
身体の状態が気になる場合は、心理的なことだけで判断せず、必要に応じて医療機関などに相談することも大切です。
不安になると「確認したくなる」ことがある
不安を感じると、その不安を少しでも小さくするために、何かを確認したくなることがあります。
例えば、
- 予定を何度も確認する
- 忘れ物がないか確認する
- インターネットで情報を調べる
- 誰かに「大丈夫だよね?」と聞く
- 相手の言葉や表情を何度も思い返す
などです。
確認することで、
「大丈夫だった」
「間違っていなかった」
と一時的に安心できることもあります。
一方で、
「本当に大丈夫かな?」
と、また不安になることもあります。
すると、
不安 → 確認 → 安心 → また不安
という流れになる場合もあります。
もちろん、必要な確認までやめる必要はありません。
ここで大切なのは、
「自分は不安になると、何を確認したくなるんだろう?」
と、自分の行動に気づいてみることです。
不安を感じると「避けたくなる」こともある
不安になったときには、
「できればやりたくない」
「その場に行きたくない」
「考えないようにしたい」
と感じることもあります。
例えば、
人前で話すのが不安だから、その場を避ける。
失敗するのが怖いから、新しいことを始めない。
不安になることを考えたくなくて、別のことをする。
こうした行動によって、一時的に不安が軽くなることがあります。
ただ、その経験が重なると、
「やっぱり自分には無理だ」
「また不安になるからやめておこう」
と考えるようになることもあります。
不安に対して回避が続くことで、不安が維持されることがあることも知られています。
だからといって、
「不安になったら、必ず立ち向かわなければならない」
という意味ではありません。
まずは、
「自分は不安になると、どんな行動をするんだろう?」
と知ることから始めてみましょう。
「最悪のこと」を考えてしまうのはなぜ?
不安になっているとき、頭の中では悪い結果を想像することがあります。
「失敗したらどうしよう」
「嫌われたらどうしよう」
「大変なことになったらどうしよう」
などです。
こうした考えは、とてもリアルに感じられることがあります。
でも、
「想像したこと」と「実際に起きていること」は同じではありません。
例えば、
「明日の発表で失敗するかもしれない」
という考えは、
「明日の発表で必ず失敗する」
という事実とは違います。
もちろん、本当に失敗する可能性もあります。
だからこそ、
「失敗しないように準備しよう」
と考えることもできます。
ここで少し、
「私は今、事実を考えているのか、それとも未来の可能性を想像しているのか?」
と考えてみると、不安との距離を少し取れるかもしれません。
不安は「悪いもの」と決めつけなくてもいい
不安になると、
「こんなに不安になる自分は弱い」
「心配性だからダメなんだ」
と思ってしまうことがあります。
でも、不安を感じること自体が、弱さを意味するわけではありません。
例えば、
「仕事で失敗するのが怖い」
という不安の背景には、
「できるだけきちんと仕事をしたい」
という思いがあるかもしれません。
「友人に嫌われるのが怖い」
という不安の背景には、
「その関係を大切にしたい」
という思いがあるかもしれません。
ただし、すべての不安が「大切なもの」の存在だけで説明できるわけではありません。
それでも、
「私は何を心配しているんだろう?」
と考えることは、自分の状態を知る手がかりになります。
不安の中に「大切にしているもの」が見えてくることもある
不安について考えていると、自分が大切にしているものに気づくことがあります。
例えば、
「仕事で失敗するのが怖い」
→仕事をきちんとしたいと思っているのかもしれません。
「友人に嫌われるのが怖い」
→その人との関係を大切にしているのかもしれません。
「将来が不安」
→安心して暮らせることを大切にしているのかもしれません。
もちろん、これは一つの見方にすぎません。
「不安になったから、必ず何かを大切にしている」
と決めつける必要もありません。
それでも、
「私は何を大切にしているから、このことが気になっているんだろう?」
と考えてみると、自分を知るきっかけになることがあります。
不安になったときに「ちょっと考えてみよう」
不安を感じたとき、すべてを整理しようとする必要はありません。
まずは、一つだけ考えてみましょう。
「今、何が不安なんだろう?」
「明日の仕事」
「人間関係」
「将来のこと」
など、できるだけ具体的にしてみます。
「なんとなく不安」という場合には、
「何が起きるのが心配なんだろう?」
と考えてみてもいいでしょう。
「それは今、実際に起きていること?」
例えば、
「失敗するかもしれない」
という不安があったとします。
そのとき、
「失敗した」という事実なのか、
「失敗するかもしれない」という未来の可能性なのか、
を分けてみます。
答えが出なくても構いません。
ただ区別してみるだけでも、不安を少し違った角度から見られることがあります。
「私は何を心配している?」
「失敗したら恥ずかしい」
「嫌われたら悲しい」
「迷惑をかけたくない」
など、不安の中身を少し具体的にしてみます。
「不安になったとき、私はどうする?」
確認する。
避ける。
誰かに相談する。
情報を調べる。
一人で考え続ける。
人によってさまざまです。
自分がどんな行動をしているのかに気づいてみましょう。
「今、自分にできることは何?」
「不安をなくすには何をすればいい?」
と考えるのではなく、
「今、自分にできることは何だろう?」
と考えてみます。
明日の準備を一つする。
予定を確認する。
誰かに相談する。
少し休む。
考えていることを書き出す。
何もしないで休む。
そのときの自分に合うものを、一つ選んでみましょう。
「不安をなくす」ことだけを目標にしなくていい
不安になると、
「この不安を早くなくしたい」
と思うかもしれません。
もちろん、つらい不安が続いているときに、少しでも楽になりたいと思うのは自然なことです。
ただ、
「不安を感じないこと」だけを目標にすると、不安を感じるたびに「また不安になってしまった」と自分を責めることになるかもしれません。
そこで、
「今、不安を感じている」
「何を心配しているのか少し分かった」
「今できることを一つ考えた」
というように、不安を感じた自分の状態にも目を向けてみます。
不安があることで、準備したり、慎重に考えたり、誰かに相談したりすることにつながる場合もあります。
大切なのは、
不安をなくすことだけではなく、不安になった自分を少し知ってみること
です。
不安と付き合うことは、いつも平気でいることではない
「不安と上手に付き合う」と聞くと、
「どんなときでも冷静でいられること」
のように感じるかもしれません。
でも、そうではありません。
不安になることもあります。
心配になることもあります。
考えすぎてしまうこともあります。
誰かに相談することもあります。
大切なのは、
「不安にならない自分」を目指すことではなく、不安になったときの自分を少し知っておくこと
です。
「自分はこういうときに不安になりやすい」
「不安になると、こういうことを考えやすい」
「不安になると、確認したくなる」
「不安になると、避けたくなる」
そんな自分の特徴を知っていれば、
「今、不安が強くなっているかもしれない」
と気づけることがあります。
今日からできる「不安の観察」
今日、少し不安になったことがあったら、次の質問を一つだけ自分にしてみましょう。
「私は、何を心配しているんだろう?」
余裕があれば、
「それは今、実際に起きていること?それとも、これから起こるかもしれないこと?」
と考えてみます。
そして、
「私は、何を大切にしているから、このことが気になっているんだろう?」
と考えてみるのもよいでしょう。
答えが見つからなくても大丈夫です。
不安を完全に理解する必要もありません。
まずは、
「あ、自分は今、不安なんだ」
と気づく。
それだけでも、自分の心を観察する小さな一歩です。
まとめ
不安は、これから起こるかもしれないことを考える中で生じることがあります。
特に、先のことが分からない状況では、「どうなるんだろう?」とさまざまな可能性を考えることがあります。
不安になること自体が、弱さを意味するわけではありません。
不安になると、考えだけでなく、身体の反応や行動にも変化が起こることがあります。
確認したり、避けたりすることで、一時的に安心しようとすることもあります。
だからこそ、
「不安になった自分はダメ」
と考えるのではなく、
「私は、何を心配しているんだろう?」
と振り返ってみることが、自分を理解するきっかけになります。
不安の中から、自分が大切にしているものに気づくこともあります。
不安を完全になくすことだけを目指すのではなく、
「不安になったときの自分を知る」
ことから始めてみましょう。
そして今日、不安を感じることがあったら、
「私は、何を心配しているんだろう?」
と、ちょっと考えてみてください。

