「ちょっとしたことでイライラする」
「忙しくて余裕がない」
そんなとき、「ストレスがたまっているのかな?」と思うことはありませんか。
仕事、人間関係、家庭のこと、学校のこと、将来への不安など、私たちの生活にはさまざまな負担があります。
では、そもそもストレスとは何なのでしょうか。
「ストレスをためないようにしましょう」と言われることもありますが、生活している以上、ストレスを完全になくすことは簡単ではありません。
そこで大切になるのが、
「自分にはどんな負担がかかっているのか」
「そのとき、心や身体にどんな変化が起きているのか」
を知ることです。
この記事では、心理学の考え方を参考にしながら、ストレスのしくみを暮らしの中から考えてみます。
ストレスは「嫌な出来事」そのものではない
ストレスという言葉から、嫌な出来事やつらい経験を思い浮かべる人もいるでしょう。
例えば、
- 仕事が忙しい
- 人間関係で悩んでいる
- 生活環境が変わった
- 睡眠不足が続いている
- 将来について心配している
といったことは、ストレスにつながる可能性があります。
心理学では、ストレスの原因となる出来事や状況を「ストレッサー」、それに伴って生じる心身の反応を「ストレス反応」と呼ぶことがあります。
例えば、仕事で急な依頼が入ったとします。
その出来事をきっかけに、
「間に合うだろうか」
と考えたり、不安や焦りを感じたり、肩に力が入ったりすることがあるかもしれません。
つまり、ストレスを考えるときには、何が起きたのかだけでなく、それによって自分にどんな反応が起きているのかにも目を向けることが大切です。
同じ出来事でも、ストレスの感じ方は違う
同じ出来事でも、誰もが同じようにストレスを感じるわけではありません。
例えば、仕事を任されたとき、
「信頼してもらえてうれしい」
と感じる人もいれば、
「自分にできるだろうか」
と不安になる人もいます。
また、同じ人でも、その日の体調や忙しさによって感じ方が変わることがあります。
十分に眠れているときには「やってみよう」と思えても、疲れがたまっているときには「もう余裕がない」と感じるかもしれません。
このように、ストレスには、出来事だけでなく、その人の受け止め方や心身の状態、周囲の環境など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、
「こんなことでストレスを感じるなんて、自分は弱い」
と決めつける必要はありません。
まずは、自分がどのような状況で負担を感じやすいのかを知ることから始めてみましょう。
ストレスは心だけに起こるものではない
ストレスを感じたときには、気持ちだけでなく、身体にも変化が起こることがあります。
例えば、
- 心臓がドキドキする
- 肩や首に力が入る
- お腹の調子が変わる
- 疲れやすくなる
- 眠りにくくなる
- 食欲が変化する
などです。
また、考え方や行動にも変化が表れることがあります。
普段なら気にしないことが気になったり、同じことを何度も考えたり、人と話す余裕がなくなったりすることもあります。
もちろん、こうした変化にはストレス以外の原因も考えられます。
そのため、「この症状があるからストレスだ」と決めつけることはできません。
それでも、
「最近、心や身体にいつもと違う変化はないかな?」
と振り返ることは、自分の状態を知る手がかりになります。
ストレスがかかっているとき、自分の状態をどう見る?
ストレスがかかっているときには、普段とは違う考え方をすることもあります。
例えば、いつもなら「次に気をつければいいか」と思える失敗でも、疲れていると「自分は何をやってもダメだ」と考えてしまうことがあるかもしれません。
あるいは、考える余裕がなくなり、「もう何もしたくない」と感じることもあります。
そんなとき、自分の考えを無理に変えようとする前に、
「今、自分はかなり疲れているのかもしれない」
と、状態を確かめてみることもできます。
もちろん、すべての考えや気持ちがストレスだけで説明できるわけではありません。
ただ、出来事だけに注目するのではなく、そのときの自分の状態も一緒に見てみると、これまでとは違う理解ができることがあります。
ストレスは「なくせばいい」とは限らない
「ストレスは悪いものだから、できるだけなくしたほうがいい」と思うかもしれません。
もちろん、強い負担が長く続く場合には、心身への影響に注意する必要があります。
一方で、生活からあらゆるストレスをなくすことは簡単ではありません。
仕事をする、人と関わる、新しいことに挑戦する、環境が変わる、何かを決断する。
こうした場面では、緊張や負担を感じることもあります。
大切なのは、ストレスをゼロにすることだけを目指すのではなく、
「今、自分にはどんな負担がかかっているのだろう?」
と気づき、その状況とどう付き合うかを考えることです。
負担を減らせる場合もあれば、少し休むことが必要な場合もあります。誰かに相談したほうがよいこともあるでしょう。
どのような方法が合うかは、状況やその人によって異なります。
自分のストレスの特徴を知る
ここで、最近ストレスを感じた出来事を一つ思い出してみましょう。
すべてを詳しく振り返る必要はありません。次の質問から、気になるものを一つ選んでみてください。
① 何があった?
仕事が重なった、人間関係で気になることがあった、予定どおりに進まなかったなど、出来事を振り返ります。
② そのとき、どんな変化があった?
不安やイライラを感じた、身体に力が入った、何度も同じことを考えたなど、自分の反応に目を向けます。
③ そのとき、自分はどうしていた?
誰かに相談した、休んだ、一人で考え続けた、いつも以上に頑張ったなど、実際の行動を振り返ります。
こうした問いかけを通して、
「睡眠不足になるとイライラしやすい」
「仕事が重なると余裕がなくなる」
「一人で考え続けると疲れてしまう」
といった自分の特徴に気づくことがあります。
これは、自分を「ストレスに弱い人」と評価するためのものではありません。
自分がどのようなときに負担を感じ、どんな変化が起こりやすいのかを知るための情報です。
すぐに答えが出なくても大丈夫です。気づいたことがあれば、それだけでも十分です。
ストレスへの対処は、一つの方法に決めなくていい
ストレスを感じたとき、どのように対処するかは状況によって変わります。
少し休むことが役立つときもあれば、問題を整理する必要があるときもあります。誰かに相談したり、周囲の人に協力を求めたりすることも選択肢の一つです。
例えば、仕事が忙しくて疲れているなら、休息を取ることが必要かもしれません。
一方、仕事量そのものが多すぎるなら、優先順位を整理したり、仕事の分担について相談したりする方法も考えられます。
気持ちを整えることと、負担の原因に働きかけること。
どちらも、状況に応じて考えられる方法です。
ストレスへの対処については、「コーピング」という考え方を使って、もう少し詳しく考えることができます。
今日、ちょっと考えてみよう
最後に、今日の自分に一つだけ問いかけてみませんか。
「最近、私はどんなときに負担を感じているだろう?」
仕事でしょうか。
人間関係でしょうか。
忙しさや睡眠不足でしょうか。
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
「そういえば、最近イライラすることが増えたな」
「いつもより疲れが取れないな」
と気づくだけでも構いません。
もし少し疲れていると感じたら、
「今の自分に必要なのは、頑張ることかな? それとも休むことかな?」
と考えてみるのもよいでしょう。
まとめ
ストレスは、単に「嫌な出来事」のことではありません。
出来事や状況に加えて、その受け止め方や心身の状態など、さまざまな要因が関係しています。
ストレスがかかると、気持ちや考えだけでなく、身体や行動にも変化が表れることがあります。
大切なのは、ストレスを完全になくすことだけを目指すのではなく、
「自分はどんなときに負担を感じやすいのか」
「そのとき、自分にはどんな変化が起きるのか」
を知ることです。
自分の状態に気づくことで、休む、周囲に相談する、負担を減らす方法を考えるなど、次の選択につながることがあります。
ストレスとの付き合い方に、誰にでも当てはまる一つの正解があるわけではありません。
まずは、自分の状態を少し観察するところから始めてみましょう。
「今の私は、少し頑張りすぎていないかな?」
ちょっと考えてみることが、自分の心と身体を知るきっかけになるかもしれません。

